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vol.158:アップルが進める脱中国化。最大の課題は熟練工の不足

知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
  • 2023/01/09
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 158 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。 今回は、アップルの脱中国化ついてご紹介します。 アップル製品の多くが、中国フォクスコンにより製造されているということはよく知られています。しかし、その中国が米中デカップリング政策やコロナ禍に揺れ、アップル製品の出荷が滞っていることもたびたび報道されます。 アップルは、2010年代中頃から脱中国化というよりも、各市場で販売する製品はその地域の生産拠点で生産する地産地消化を進めています。現在、米国、EU、中国がアップルの大きな市場で、生産拠点もこの3地域に集中をしています。米国とEUに関しては生産拠点が多くないため、不足する分を中国から供給しているという図式です。 ところが、インド、EU、米国などが保護主義的な関税をかけ始めるようになっています。自由貿易の考え方には反することですが、各国とも自国産業を保護するために関税をかけていき、利益の一致する国とは個別に戦略的に自由貿易協定を結ぶという体制になりつつあります。 この中で、経済大国となってきた中国は孤立をする傾向にあり、特に米国は中国に対して制裁関税をかけています。世界の工場だった中国で製品を製造すると、販売地域に移転する際に多額の関税を支払わなければならなくなりつつあるのです。 これにより、アップルはますます地産地消を加速させています。現在、インドとベトナムでの生産が始まっていますが、いったいどの程度進捗しているのでしょうか。 今回は、アップルが進める脱中国化の現状と、アップル自身が抱える課題についてご紹介します。 知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 158 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼目次▼ アップルが進める脱中国化。最大の課題は熟練工の不足 小米物語その77 アリババ物語その77 今週の「中華IT最新事情」 Q&Aコーナー ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ アップルが進める脱中国化。 最大の課題は熟練工の不足 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今回は、アップルのEMS企業として有名な鴻海精密工業(フォクスコン)についてご紹介します。 初期のiPhoneには、背面に「Designed by Apple in California, Assembled in China」(カリフォルニアのアップルにより設計、中国で組立て)という文字が刻印されていました。この刻印を見て、個人投資家となっていた雷軍(レイ・ジュン)が「こんな素晴らしいスマートフォンを中国でもつくれるのだ」と感動して、小米(シャオミ)の創業を決意したのは有名な話です。 現在でも、iPhoneは中国を中心に生産されていますが、製造工場は他国にも広がっています。そのため、アップルはこの刻印をやめ、公式サイトなどでは「Designed by Apple in California, Made by People Everywhere」(世界中の人々によって製造)という言葉を使うようになっています。 アップルは、毎年、部品供給や組立てを行う企業(サプライヤーリスト)を公開しています(https://www.apple.com/jp/supplier-responsibility/)。このアップルのサプライヤーになることは、製造企業にとって、これ以上ない名誉なことです。生産品の品質が高いことがアップルに認められたということだからです。 アップルはサプライヤーに対して、工場の設備、環境対策、労働問題などを高い水準で求めています。どのようなことをサプライヤーに求めているかも、「サプライヤー行動規範とサプライヤー責任基準」という文書で公開されています。つまり、アップルのサプライヤーであるということは、高い品質の製品をつくり、環境にも配慮し、従業員の人権や健康を守る先進的な企業であるということになるのです。 ご迷惑がかかることになるので、業種、時期などは伏せますが、アップルのサプライヤーになった日本の地方中堅企業の経営者の方にお話を聞いたことがあります。ある日突然、アップルから連絡があり取引をしたいと言われてびっくりしたそうです。その企業は、業界の中では名が知られている中堅企業でしたが、世界的に名が知られているとは思っていなかったので、よくアップルが見つけてきたなと驚き、そして、またとないチャンスだと感じたそうです。 話を進めると、アップルのチームがやってきて、1週間以上にわたって工場の内部をすべて調査をしていきます。アップルのサプライヤーになるためにはアップルが定める基準をクリアしなければならず、その調査だというのです。

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