前回、エンジン01という文化人の団体のオープンカレッジで日本の教育の方向性について、シンポジウムを行った話をした。
そこから日本の将来のことを少し考えるようになった。
私自身は、この国の生き延びる道として、高齢者が多いこと、そして金をもっていることをいかに活かせるかが重要だと信じている。
これから世界中の高齢化が進み、とくに中国や韓国の高齢化が急激に進む。
高齢者が多いだけでなく、金を持っている日本で、高齢者向けのいい商品やサービスが開発できれば、価格でない競争力をもつ。
アメリカという国は、実は世界の先進国の例外といっていいほど、若い国だ。
日本の平均年齢が2022年のデータで48.6歳なのに対して、アメリカは38.1歳だ。中国もこれから高齢化が進むがまだ37.4歳。ちなみにインドは28.1歳だ。
日本は2位なのだが、一位のモナコはなんと55.4歳。
私も映画祭やアンチエイジングの学会で何回か行ったことがあるが、おそらく世界でいちばん物価の高い国だ。
それなのに、金持ちの高齢者が集まるためか、高齢者が幸せで長生きしている。平均年齢というのは高齢者が多いだけでなく、若い人が少なくなければ、こんなに高くならない。
モナコの場合、若い人が少なく高齢者も多く、物価も高いのに、高齢者が悠々としているし、街にもそれなりの活気がある。
そして、高齢者がシャネルの服を着ていたり、フェラーリから降りてくるという姿を当たり前にみる。
人口の高齢化や若者の少なさが、国をダメにするのでなく、高齢者がちゃんと金を使うかどうかが超高齢社会でも豊かな国でいられるのかを示す見本のような気がする。
そんなに病院を見かけなかったが、余計な医療費を使うより、人生を楽しむほうが健康長寿になるのだということを教えてくれる気がする。
前にも書いたが、私の『80歳の壁』が50万部を超え、今年でいちばん売れた本になる予想だという。
週刊誌でも「80歳の壁」とかそういう企画を目にしない週がないほどなので、流行語大賞にノミネートされるのではないかと期待していたが、高齢者無視の国なので、ノミネートさえされなかった。
若者や中高年に流行る言葉でないと流行語でないと思い込む感覚の古さが超高齢社会と背反していると私は考えている。
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