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レイラインハンター内田一成の「聖地学講座」
vol.249
2022年11月3日号
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◆今回の内容
○伝承の仕組みを考える
・<記述する>ということの意味
・模様と歌
・伝承の仕組み
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伝承の仕組みを考える
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「GPSや正確な地図をもつ現代人から見て、昔の人たちはそうしたテクノロジーを持たなかったのに、どうして正確に方位を把握して、精緻な設計で都市や聖地を作ることができたのか?」。前回は、そんなよくある疑問が、じつは現代人の思い込みであることを定位という観点から解き明かしました。
人類の知識も技術もリニアに発展してきたものであり、過去の技術は、今に比べて劣るものだというのは、現代人の思い込みであり、そしてまた奢りでもあります。
太古から、人間は正確な方位を測り、天体の動きを把握して、定位を正確に行ってきました。<定位>を宇宙の中での自分の存在位置の認識と見るならば、それを見失っているのは、テクノロジーに頼りきりになっている現代人のほうではないのか。そんな話でした。
同様の<リニアな発展観>という一種の呪いに囚われた言説がもう一つあります。それは、「文字もない時代に、どうして人々は神話や歴史を記録し、伝えてきたのか」というものです。記録といえば文字に残すことと考える今の我々は、文字を持たなかった民族が、神話や伝説を何百年もときには何千年にも渡って、口承で伝えてきたことを信じることができません。
オーストラリアのアボリジナルや北海道のアイヌ、アフリカや南米アマゾンの少数民族などの文字を持たない民族が、正確な地誌を伝え、それをウェイファインディングに活かしてきました。アボリジナルはソングラインという独自の地図とナビゲーションをあわせた物語とスキルを持ち、現代人がGPSを使っても太刀打ちできないウェイファインディングを行います。
アイヌや他の民族たちも、壮大な神話の叙事詩を太古から伝え、それがその土地の自然と密接に結びついて、正確なウェイファインディングの基礎となっているだけでなく、狩猟や農耕、そして生活習慣のガイドとして、彼らの生活を躍動的で充実したものにしてきました。
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