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『 田中優の未来レポート 』
第270号/2022.10.30
http://www.mag2.com/m/0001363131.html
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地球温暖化防止のためにしたいこと(中)
前回は「テラプレタ」の話と、「2.地域の果樹農園に「4パーミルイニシアチブ」を入れて、カーボンオフセットできないか」の話をした。
しかしあと二つ、「3.ブルーカーボンを実現する」の話と、1.の「自治体で法定外地方税も視野に入れて事業者・産業の電気料金を変えたい」の話を残している。
ブルーカーボン
「3.ブルーカーボンを実現する」の話をしてみよう。
「ブルーカーボン」と呼ばれるのは、海藻のような海の植物による二酸化炭素の吸収だ。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220825/k10013786921000.html
これは即効性があるし、海の植林のようなことなので、理解しやすいと思う。しかし前回、「最初のシアノバクテリアは海中に生まれて海中に分解していくものだったので、大気中の炭素濃度を大きく減らすものではなかった。大気の炭素量を激減させたのは、陸上に植物が上陸してからのことだ」と説明した通り、海水に分解されてしまうと、せっかく回収した二酸化炭素が再び大気に戻っていってしまう可能性がある。ただし海藻は海に生きる生物の大切なよりどころとなっていて、海洋生物の食料とされればその分は大気に戻るまで時間を稼ぐことになるし、他の生命の命の循環として大気から二酸化炭素を隔離する。
しかし海の深さは平均すると4000メートル程度で、光合成できる海洋の深さは一般的に「海表面の光が1%となる水深まで」といわれている。外洋では50-200m、沿岸では2-30mぐらいだ。
つまり「光合成」に利用できるのは、ほんのわずかな海域だけというということになる。この希少な海域が陸地近くにある。岡山県も海に接した県だから、ブルーカーボンが利用できる可能性がある。
現に岡山県備前市日生(ひなせ)町では、35年以上前から海に「NPO法人里海づくり研究会議」が主体となって、里海づくりのために「アマモ」を植えている。その効果を見てみよう。確かに光合成して作られた炭素のうち、三分の一が海中に分解されているが、残り三分の二のうちの半分が深海の海底に、残りはアマモ場の内外に堆積している。海水に溶け出すために効率は陸地の半分だが、面積が莫大にある海は「アマモ場」は大きな「炭素の堆積先」として機能しているのだ。
瀬戸内海の日生湾では地元の高校生たちが漁業者と協力して海草の一種、アマモを育てる活動を30年以上続け、当初の20倍にまで面積を増やすなど成果をあげています。
このアマモ場は残念ながら埋め立てや汚染などのために破壊されている。かつては広大なアマモ場だった瀬戸内海も、多くは破壊されてしまっている。しかし海の面積は広大だ。見渡す限りの浅瀬の海をアマモ場や海藻の生える海にしたなら、その二酸化炭素吸収量は莫大なものになる。かつては海にしか光合成できるシアノバクテリアが存在しなかった時代に、海水の鉄分や有害物質を酸化させて海底に蓄積させ、さらに大気に酸素を二割も堆積させ、オゾン層を作り上げた、それは植物が上陸する以前のことで、それがなければすべての陸上生物は存在しなかったのだから。
ただし、今から20億年~25億年前に、地球を「大酸化イベント」と呼ばれる巨大な酸化時期が襲ったとみられているので、植物は5億年前に上陸可能になるまで広がるはずもなく、海水中には「大酸化イベント」を起こすほどの光合成するシアノバクテリアが広がっていたはずなので、まだまだ理解できない事態が多くある。
その光合成する浅瀬の「アマモ場」が、広さも集中した広さがあるのが我が家の近くの岡山県内にあるのだ。それは炭素を堆積するのに都合良い岩礁性の藻場があるのが、この瀬戸内海の日生(ひなせ)などに集中しているのだ(図1)。
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