エンジン01という文化人の団体が年に一回行うオープンカレッジというイベントで岐阜にきている。
このイベントはなかなかユニークなもので、私がやっているさまざまな仕事や活動の中で、もっとも世間様に役立っていると自負しているものだ。
120人ほどの文化人が集まり、4-5人の講師が80コマくらいの講座を開いて、テレビでは絶対聞けないような話の講義を行う。
そして、交通費はいただくが、全員ノーギャラというのがすごい。
地方の人は、残念ながらテレビから(もちろん、最近はネット情報もあるから、私もこのメルマガを書いているのだが)しか情報を得ないので、東京目線の考え方に毒される。
たとえば高齢者が東京で目立った事故を起こすと、人がほとんど歩いていないし、車がないと生活がなりたたない地方でも、免許返納が当たり前だというムーブメントが生じる。
余談だが、私は一橋と東京医科歯科大学で医療経済学の講義を行っていて、統計数字をもとに、今の高齢者医療がいかに前時代的で改善の余地があるという話をしている。その感想文のレポートを読むと、さすがにシャープで、優秀だとおもうのだが、この高齢者の免許返納では、数字のデータを見せ、将来の要介護を増やすと説いても、ここだけはなかなか理解してもらえないことにも驚いている。
コロナもそうだが、人の死ということがあると人間というのは、相当に知的レベルが高い人でも思考停止に陥るのだと痛感させられる。
そういう意味で、このオープンカレッジでは、テレビが報じない情報を地方の人が生で聞けるのが最大のメリットだと思っている。
もちろん、それのほうが正しい情報だというつもりはないが、情報のソースは大いに越したことがないし、考えるきっかけになれば、それは嬉しい。
エンジン01のもう一つ、いい点は、メンバーの思考パターンがかなり分散していることだ。
たとえば、私はゆとり教育反対派の代表のような立場にいたが、ゆとり教育の旗振り役の寺脇研氏もメンバーだ。
櫻井よしこさんやケント・ギリバードさんのように右の論客もいれば、高野孟さんのような左の論客もいる、
だから4-5人の講師の話が、むしろ一致することが珍しい。
賢い人たちの議論は聴く価値があると私は信じている。
ところが、この活動がコロナで2年も飛んでしまった。
本当は、コロナの中でこそ、こんなことでいいのかという議論をしたかったのだが、後援してくださる行政にも立場があるので、そうはいかないのもわかる。
いずれにせよ、やっと開催にこぎつけたのは本当に嬉しい。
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)