仲本工事さんが亡くなった。
交通事故にあい、約1日意識不明のあとに帰らぬ人になったとのことだ。
まだメンバーは残っているが、子供時代のヒーローがまた一人亡くなるのは寂しい。
本来は横断禁止の道を車を縫って渡ろうとしたら、はねられてしまって死ぬ。
高齢者は、できると思うことがうまくできなくなって、それで事故ということは多い。
おなじ「こうじ」のヒーローだった若松孝二監督は、黄色信号でまだ大丈夫と渡り、足が追い付かず、赤になったところで発進してきた車にひかれて亡くなったという。
若いころの敏捷性が失われての死亡事故という点では高齢者の死亡事故の典型的なものかもしれない。
実は、私もこの手のことはよくやる。
自分の歳を考えて、できなくなったら、それを受け入れて、素直に交通ルールに従おうということなのだろう。
確かに自分の身を守るために当たり前のことなのだろうが、ちょっと悔しい。
そういう心理は、いまだに外でマスクをしている人にはわからないかもしれない。
2021年の交通事故者数は統計を取り始めた1948年以降の最少の2636人(車の少なかった1948年でも4000人いたのだから驚くべきことだ)なのだが、高齢者の割合は過去最高の57.7%だという。
いっぽう、高齢者が起こした死亡事故の割合は例年2割前後で推移している。
高齢者が免許を返納して、歩行者になったとたんに交通弱者になるのに、それを誰も報じない。
今回は仲本工事さんが有名人だったから、高齢者の死亡事故として取り上げられたが、一般的には高齢者が悪ガキの乗るポルシェに撥ね殺されてもニュースにならない。
いっぽうで、高齢者が人を撥ね殺したら鬼の首をとったかのように大々的に高齢者の運転が危ないとニュースにする。
この悪意は何なのだろう?
私の読みだが、テレビ局のボンボン社員たちは当たり前のように高級外車に乗っているが(そうでなくても親が金持ちなのに給料が高いから、それができるのだろう。それとも芸能プロダクションからのキックバックで)、彼らは実は高齢者の運転は危なくないことは知っている。私も毎日のように運転するが、高齢者の暴走や逆走を見たことがない。
高齢者ドライバーの多くは、自分たちの運転技術の低下を体感している。だからマークをつけて、トロトロ運転する人が多い。
それがボンボン社員には邪魔なのだろう。高齢者ドライバーを追放したくてテレビを使って免許返納キャンペーンをやる。今や免許保有者の2割が高齢者なので、2600件まで交通死亡事故がへっても、500件の死亡事故を高齢者が起こしてもおかしくない。それをことさらに報じたら、統計数字を丸無視する視聴者には高齢者の運転が危険という印象操作ができる。
ついでにいうと、このイメージが作られると、日本中にスマホをもったカメラマンがいるから、高齢者が逆走しているのを見つけると投稿してくるだろう。
かくして、めったにない高齢者の逆走がしょっちゅうテレビで流される。
邪魔な高齢者がかくして街から追い出され、ポルシェは飛ばし放題になり、それが交通事故で高齢者を撥ね殺してもニュースにならない。
これが超高齢社会日本の現実だ。
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)