やっと『80歳の壁』が50万部を超えた。
今のところ今年で一番売れた本らしい。
私は、この国の一番の問題点は、これだけ高齢者が多いのに、高齢者のことがちゃんとわかっている人が少なすぎることだと考えている。
私がちゃんとわかっているというつもりはないし、これからも高齢者を診続けることで、考えが変わるかもしれない。
それでも、高齢者のことを診ないで電子カルテだけをみて、高齢者について論じたり、それに基づいて政策が決められるよりはましなことを言っているつもりだ。
動物実験ばかりして大学の医学部の教授になったような奴が、ろくに日本人の人間の研究もしないでいろいろな医学常識をおしつけることも許せない。
私のうぬぼれかもしれないが、高齢者の生活実感にあっているから、本が売れ続けている気がする。
本を売るためには、人に勧める気がする本でないといけないのだが、35年前に、『受験は要領』という本が、口コミで受験生の間で広まったように、「この本はいいよ」と人に伝わっているから、売れている気がしてならないのだ。
たまたま、日本の男性医学の父と呼ばれる熊本悦明先生のお嬢さんの取材を受けた。
熊本先生は私の本も何冊か読んでくださったらしいし、実際、生前お会いしたのだが、アクティブな人だった。
92歳で亡くなり、亡くなる直前まで外来診療を続けておられたそうだが、死ぬまで男性ホルモン補充療法の普及に尽力されていて、男性ホルモンを「元気ホルモン」と呼び変えるべきだと主張されていたし、元気ホルモンなので、女性にも補充すべきだと考えておられた。
このメルマガでも何度か触れたが、日本は性的なことをあまりに忌避するし、高齢者が性的関心や性欲が強ければ、「色ボケ」とさえ言われる。
ただ、何度も言うことだが、高齢者がこれだけ増えた以上、高齢者に元気でいてもらわないと国がもたない。
ずっと働ける社会を作ればいいというが、私には甘いと思う。
意欲が落ちてしまえば、わかっていても働く気になれないだろう。
そのためには男性ホルモンと前頭葉機能を維持しないといけないが、性的なことへの弾圧が強ければ、男性ホルモンの維持は難しいし、前例踏襲思考や同調圧力が強ければ、前頭葉はどんどん老化していく。
コロナをいつまでも怖い病気扱いして、高齢者が外に出ないと、現実に足腰が弱る。
日本人がマインドセットを変えない限り、超高齢社会はヨボヨボ社会になるし、経済も低迷したままだろう。
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