A. ウォッシュトレード、マネーロンダリング、盗難などの不正行為が起きている。アメリカ、中国、EUでは規制強化に向けて、それぞれの動きが出始めている。
web3関連市場の中でも、NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)は盛り上がっている領域です。
その一方、NFTを悪用しようとする動きなど、多くの課題が出てきているのも事実です。今日はNFT市場でどのような不正行為が起きているのか、また、それに対する各国の対応姿勢をまとめてみました。
NFT市場の盛り上がり
上図は2020年から2030年のNFT市場の市場規模の予測です。2022年以降は予測値、2020〜2021年は実績値となっています。
NFT市場は、2020年から2021年にかけて205倍の急成長を遂げました。
今後も右肩上がりの成長が期待され、2030年には$211.7B(約21.17兆円)規模になると予想されています。
NFTの注目アーティストとなったBeepleの「Everydays-The First 5000 Days」は79億円で売買されたり、NIKEのNFTスニーカーが1,300万円で売買されたり、Twitter創業者のジャック・ドーシー氏の初ツイートが3億円で売買されたりと、高額取引が市場を牽引していると思われます。
一方で、OpenseaやRaribleなどのNFTマーケットプレイスで少額の作品も多く取引されています。
このような盛り上がりの裏側で、2022年6月には史上初のデジタル資産のインサイダー取引で起訴されるという事件がありました。Openseaの元従業員が、Opensea掲載前のNFTの機密情報を仕入れて購入していたとのことです。
盛り上がりの裏にある不正行為1: ウォッシュトレード
他にも、一般的な金融市場では不正行為とされているものが、NFTという新興市場では起きています。
まず皆さんも聞いたことがあるであろう「ウォッシュトレード」です。
ウォッシュトレードとは、例えば、あるNFTを同一人物が同時に買い注文と売り注文することで、意図的に取引量を水増しし、実際よりもそのNFTに価値があるかのように見せかける行為のことです。
巨額をNFTに投資するトレーダーが現れてから、ウォッシュトレードを行う人が出てきています。取引データはブロックチェーン上に保存されていますが、ウォレットアドレスには識別情報がなく、ウォッシュアドレスの持ち主が誰であるのかを識別することは非常に困難となっています。
そんな中、ブロックチェーン分析企業のChainalysisは、ブロックチェーン上に記録されたトランザクションを追跡し、「自己アドレス同士で25回以上NFTを売買している262アカウントのユーザー」を特定しました。
Crime and NFTs:Chainalysis Detects Significant Wash Trading and Some NFT Money Laundering In this Emerging Asset Class
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