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高野孟のTHE JOURNAL Vol.565 2022.9.5
※毎週月曜日発行
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《目次》
【1】《FROM THE EDITOR》
「国葬反対」ネット署名の広がり
【2】《INSIDER No.1171》
追悼ゴルバチョフ/ロシア人も世界の人々も彼が拓いた
非戦への道を歩み損ねたことの結末としての現在
【3】《FLASH No.474》
沖縄県知事選の行方にも作用しそうな旧統一教会の影/
日刊ゲンダイ9月1日付「永田町の裏を読む」から転載
■■INSIDER No.1171 22/09/05 ■■■■■■■■■
追悼ゴルバチョフ/ロシア人も世界の人々も彼が拓いた
非戦への道を歩み損ねたことの結末としての現在
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ゴルバチョフ元ソ連大統領が亡くなって、「彼は世界
史を変えたかもしれないがソ連邦を救うことはできなか
った」といった凡庸な評言がメディアに溢れている。そ
の中で、短いけれども本質を突いていたのは、ロシアの
独立系新聞「ノーバヤ・ガゼータ」のドミトリー・ムラ
トフ編集長の言葉だった。
ゴルバチョフは冷戦を終わらせた一方の当事者とし
て、1990年にノーベル平和賞を受賞し、その賞金で同紙
の93年の創刊を助けた。同紙の歯に衣着せぬ報道ぶり
は、2000年以降のプーチン時代になり何人もの記者や寄
稿者が変死の憂き目に遭ってさえ止むことがなく、その
ため今度はムラトフ編集長が21年にノーベル平和賞を与
えられた。今年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻
についても批判的な立場を取り、3月からは国内での活
動を禁じられた。そのムラトフがゴルバチョフへの告別
の辞を発表し、こう言った(22年9月2日朝日新聞夕
刊)。
▼彼は戦争を軽蔑した。彼はレアルポリティークを軽蔑
した。彼は、世界秩序の問題を力で解決する時は過ぎ去
ったと確信していた。彼は人々の選択を信じていた。
▼2年前、彼は国連のために非常に真剣な報告書を書い
た。会食のテーブルで、彼はブリーフケースから厚い紙
の束を取り出した。私たちは耳を傾けた。最初のページ
に書かれていたのは「戦争を禁止する」という一文だけ
だった。「それだけ?」と私たちは尋ねた。
▼「他に何がいるのか?」と彼は言った……。
●冷戦の終わりが意味したこと
その通りで、「冷戦の終わり」には難しいことは何も
なく、「戦争を禁止する。他に何がいるのか?」、これ
以上に大事なことが他にあるのか? というゴルバチョ
フの人類への問いかけにほかならなかった。
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