ナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問後の中国の動きを見ていると、習近平指導部が決してアメリカの対応に幻想を抱いていなかったことが見て取れる。
とくに「台湾問題と新時代中国統一事業」(台湾統一白書)の発表のタイミングだ。アメリカのサラミ戦略的対中攻勢――内容は実は複雑だが――がそう簡単に収まることはなく、民進党の自制にも期待できないことを前提に用意されていたことがよく解る。
バイデン政権は台湾と正式な通商交渉を「初秋」にも開始すると発表した。今年6月に明らかにされた「21世紀の貿易に関する米台イニシアチブ」について、双方が「交渉が必須との相互理解に至った」という内容だ。
中国の目には米台の正式な交流が始まる一歩と映る。秋に向けて再び台湾海峡の波が高まることは避けられそうにない。
これを報じたアメリカなどのテレビ番組では、「中国が軍事演習で圧力をかけてもバイデン政権はやることはやるというメッセージ」との解説が聞かれたが、アメリカの狙いは「台湾を使った中国けん制」だけではない。
半導体サプライヤーとしての圧倒的な地位を取り戻そうという実利を狙っているのだ。
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