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高野孟のTHE JOURNAL Vol.558 2022.7.18
※毎週月曜日発行
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《目次》
【1】《FROM THE EDITOR》
退院その後(6)ーー全ての数値を疑う
【2】《INSIDER No.1164》
間違いだらけの「台湾有事論」/『軍事研究』7月号の
論文に注目
【3】《FLASH No.460》
もはや全ては歴史の闇の中…私が安倍元首相に聞いてみ
たかったこと/日刊ゲンダイ7月14日付「永田町の裏を
読む」から転載
■■INSIDER No.1164 22/07/18 ■■■■■■■■■
間違いだらけの「台湾有事論」/『軍事研究』7月号の
論文に注目
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『軍事研究』という月刊誌は自衛隊寄り、軍事オタク
寄りではあっても「右寄り」ではなく、それは同誌自身
が「1966年の創刊以来いかなる政府・政治勢力、いかな
る思想的立場からも中立」と謳っている通りで、軍事技
術的な合理性を本旨としているが故に、時の政府の政策
や安倍晋三的右翼の立場と矛盾したりそれを批判したり
する場合も珍しくはない。同誌7月号に載った軍事ライ
ターの文谷数重の論考『間違いだらけの台湾有事』もそ
の一例で、「台湾有事は現実的にはあり得ない。日米の
台湾有事論は誤っている。現状では、戦争事態が発生す
る危険性はむしろ少ない」と述べているが、これは私と
同意見である。
彼は、21年3月に米上院の公聴会で米海軍大将が「中
国による台湾回収は6年以内」と証言したことがきっか
けで台湾有事論が一気に広まったが、この証言は取るに
足らない内容で、まして「6年以内」と言うのはこの大
将の「個人の勘」のようなものでまるで根拠がないと指
摘。さらに「中国には侵略的傾向があるから台湾を侵略
する」「日米同盟を強化し、防衛費を増やすべき」とい
った短絡した主張を繰り広げる「右派メディア、保守メ
ディア」を、台湾有事の何たるかを知らずに騒いでいる
だけとボロクソに批判するのである。
●右派・保守派の「台湾有事論」の粗雑
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