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高野孟のTHE JOURNAL Vol.557 2022.7.11
※毎週月曜日発行
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《目次》
【1】《FROM THE EDITOR》
退院その後(5)ーー血圧は「年齢+90」が目安
【2】《INSIDER No.1163》
戦略も戦術もない野党第一党の無惨な敗北/参議院選挙
後に改めて考える日本の行方
【3】《FLASH No.459》
外交努力で戦争を回避することはできないのか…ゼレン
スキーには3年間の時間があった/日刊ゲンダイ7月7
日付「永田町の裏を読む」から転載
■■INSIDER No.1163 22/07/11 ■■■■■■■■■
戦略も戦術もない野党第一党の無惨な敗北/参議院選挙
後に改めて考える日本の行方
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自民の大勝というよりも野党の惨敗に終わった参議院
選挙の結果である。岸田文雄首相率いる自民党は、何を
争点にして勝ちを掴んだと言えるものはなく、ウクライ
ナ戦争への人々の同情をそのまま「台湾有事」「尖閣危
機」への恐怖感にスライドさせて漠然たる不安感を煽
り、そういう時こそ「安定第一」の自民党政権が何より
という気分を醸し出した。それを投票日2日前の安倍晋
三元首相の銃撃死のショックがダメ押しした。
野党第一党の立憲民主党は、この真綿で首を絞めるよ
うな情念的な心理操作作戦にほとんどなす術もなく受け
身で右往左往しつつジリジリと後退を強いられ、ホワイ
トハウス発・永田町増幅による「ロシア・中国脅威論」
の虚構性を暴いて別の世界解釈と外交方策を示すことが
出来なかった。そこを突き詰めると、結局この党は、何
一つ戦略らしきものを持っておらず、従って例えば今回
選挙での共産党など他党との選挙協力などの戦術選択も
腰がフラついて上手く取りまとめることが出来ないでい
ることが判る。
●旧立憲から旧民進、旧民主へと遡る
2017年10月、総選挙を前にして当時の旧民進党の前原
誠司代表が自力で戦う気力を失って、小池百合子におん
ぶに抱っこの「希望の党」への丸ごと合流という奇矯な
方策に打って出た。この時、小池が旧民進内の左派やリ
ベラル派を「選別排除する」と言い出し、それに反発し
た枝野幸男が赤松広隆ら「サンクチュアリ」グループや
菅直人の支持勢力などと共に旧立憲民主党を立ち上げた
のは、誠に機敏な行動で、15年の安保法制反対の大規模
な国会包囲デモを担ってきた市民運動、旧総評系の労
組、シニア世代などがこぞって支持。選挙前の16議席を
3倍以上の55議席に伸ばして忽ち野党第一党の座にのし
上がった。
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