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高野孟のTHE JOURNAL Vol.550 2022.5.23
※毎週月曜日発行
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《目次》
【1】《INSIDER No.1156》
戦局膠着下で始まった「とりあえず停戦」の模索/ウク
ライナで再び戦闘を再燃させないための知恵を!
【2】《FLASH No.451》
政権与党との対抗軸を形成できない野党が国政選挙を戦
えるか/日刊ゲンダイ5月19日付「永田町の裏を読む」
から転載
■■INSIDER No.1156 22/05/23 ■■■■■■■■■
戦局膠着下で始まった「とりあえず停戦」の模索/ウク
ライナで再び戦闘を再燃させないための知恵を!
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ロシア軍のウクライナ侵攻から3カ月、5月20日に至
ってマリウポリのアゾフスタリ製鉄所に立て篭っていた
「アゾフ大隊」が制圧されたことで、階段の踊り場のよ
うな一時的な戦闘膠着場面を迎えている。ここが1つの
分かれ目で、とりあえずの停戦合意が成って後のことは
交渉を通じて解決を図ろうという気運が生じるのか、そ
うはならずに再び泥沼の戦闘長期化へと転がり込んでい
くのか、今後の流れが方向付けられることになろう。
マリウポリは、ここ1カ月ほどの間、戦局全体の焦点
であるかに毎日のように報じられ、その理由をメディア
はロシアがドンバス地方から要衝マリウポリを経てクリ
ミア半島までのアゾフ海沿岸を「回廊」として確保する
ことを狙っているなどともっともらしく解説してきた
が、それは米国の扇動的なシンクタンクなどが無責任に
流している誇大な憶測にすぎない。マリウポリからクリ
ミア半島の根元までは1500キロほどもあり、それだけの
帯状の陸地を占領・支配するのは容易なことではない
し、今のロシア軍にそれを成し遂げる体力は残っていな
い。
そうではなくて、本誌4月18日付No.1150「頭の体操
(6)」でも述べているように、ここを発祥地・本拠地と
する「アゾフ大隊」がそこから出撃してドンバス地方の
ロシア系住民に対する〔プーチンの言い方では〕ジェノ
サイドを繰り返してきたことへの報復と再発防止が作戦
目標であり、それが達成されたのだから、「アゾフ大
隊」制圧の事実は今が踊り場の場面と判断する重要な材
料となるのである。
●交錯するそれぞれの思惑
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