2022.01.28更新分
今回、話題として取り上げるのは「塩化ビニール樹脂(塩ビ樹脂)」の製造・販売に勤しんでいる企業である。先に述べておくと、ポイントになるのは「国内でも国外でも着実に需要が高まり続けていること」と「塩ビ樹脂のような『汎用品』とともに『高機能製品』の取り扱いもバランスよく事業ポートフォリオとして構成している企業である」ということだ。
まず、塩ビ樹脂を取り巻く現状であるが、その国内価格はここにきて41年ぶりに過去最高値を更新してきている。指標となる東京地区・需要家渡し価格は1キロ220~232円と2021年12月に比べ35円(約18%)ほど上昇。最高値の更新は1980年6月以来で上げ幅も過去最大となっている。
原材料の値上がりが急ピッチで進む一方で、樹脂メーカーは大幅な転嫁値上げで対応することができている。住宅向けなどの需要が堅調で、この1年の上昇率は3割を超えた。また、パイプなど加工製品にも値上げの動きが広がっている。
主原料のエチレンは、原油を精製したナフサ(粗製ガソリン)からつくられており、樹脂の値決めの参考となる国産ナフサ価格は原油高を背景に上昇が続いてきた。とはいえ、塩ビ樹脂の内需は底堅く、新設住宅着工件数の伸びなどで昨年3月以降は前年を概ね上回っている。一方で、昨年12月以降は新型コロナウイルスの変異株「オミクロン型」の感染拡大でナフサ価格が軟調になっている。当然、メーカーによる転嫁値上げの業績貢献度合いは高まる。
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