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【Vol.397】冷泉彰彦のプリンストン通信『総裁選直前、各候補を比較する』

冷泉彰彦のプリンストン通信
「総裁選直前、各候補を比較する」  自民党総裁選は、明日29日に投開票となります。小規模な党内選挙にし ては異例に長期間に渡ったこと、総選挙を目前に控えていることから議席の 危機を感じた各地方組織や各議員が「間接的に民意を強く意識」したという 条件が加わったことで、「面白い」選挙になっています。ですが、自民党が より有権者にアピールする党に脱皮するには、やはり時間をかけた本格的な 予備選というのが必要なのだと思います。  今回の総裁選は、残念ながらその点で「尻すぼみ」といった印象は免れま せん。というのは、終盤に来て「いつもの病気」、つまりテクニカルな「2 位・3位連合」がどうとか、「票の貸し借り」がどうとかいう低レベルの議 論が出てきたからです。この種の議論というのは、正に党員や民意をバカに したものであり、こうした姿勢が何度も再現されては党への有権者の信頼は 崩れてしまうと思います。  それはともかく、これまでの選挙戦を通じて見えてきた、各候補の特徴に 関して、選挙直前のこの時点で寸評という形で議論の材料をご提供しておき たいと思います。 (河野太郎候補)  善戦していると思います。選挙戦を通じての予想外の風圧にもよく耐えて いると思われ、今回は他の候補に譲るにしても数年後の河野政権へのステッ プとなったと思います。  改めて思うのですが、無駄な軍拡競争という経済破滅の道を断ち切り、同 時に経済、とりわけ生産性向上を目指した徹底した構造改革を行うというの は、現在の日本に置いて、国家生存のための「唯一のセット定食」だと思い ます。  これを断行することに対しては、勿論、軍拡競争の拒否というのは軍需と いう公共事業に群がる人々、そして軍拡しないと安心できないという対外恐 怖症世論による激しい抵抗に合うのは予想できた問題です。  また構造改革への抵抗というのは、改革により失職する可能性を感じてい る層と、改革により過去の自分の栄光(例えば「紙を操作するだけの事務員 として40年勤め上げた」など)を否定されるようで嫌だという層が想定で きます。更に世の中が変わることへの漠然とした恐怖ということもあるでし ょう。  いずれにしても「軍拡論者+守旧派」というグループが、日本を破滅に追 い込むであろう最大の抵抗勢力であり、このグループをいかにして「切除す る」のかが、喫緊の課題だということを、河野氏は暴き出したと思います。 そして、その抵抗勢力が実はそれほどシャープでもないし、パワーがあるわ けでもないことも暴露できたのではと思います。  その意味で、今回の選挙戦というのは手応えがあったという総括で良いの ではないでしょうか。尚、個人的には日本の改革に関して言えば、エネルギ ーと財政規律を中心に良い議論ができた一方で、教育や公用語の問題は手が ついていませんでしたが、この2つの問題は、生半可な格好で世論と対話す るのではなく、権威と権力を獲得した時点で進めるしか道はない種類のもの ですので、今回争点化させなかったのは、それはそれで上策だったのではと 思っています。(続く)
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  • 冷泉彰彦のプリンストン通信
  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
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