第11回 文章の書き出しはどうする?

前田安正の「マジ文アカデミー」
文章の書き出しは難しい。いろいろと書こうと思っていることが邪魔をして、一歩を進めないという感じになってしまうことが、多いですね。  僕はそういう時に、参考にしている文章がいくつかあります。今回は、その文章の紹介をもとに書き出しについて、考えていきたいと思います。 春はあけぼの。やうやう白くなりゆく、山ぎはすこし明かりて、むらさきだちたる雲のほそくたなびきたる。 『枕草子』(清少納言)の書き出しです。 高校時代、ひねくれてひん曲がった日々を送っていた僕は、哲学ということばに引き寄せられて、小難しい本を読んでいたのです。文字を追うばかりでまったく内容も頭に入らないし、理解もできない。ただ、それ風のものを読んでいる自分に満足していただけでした。 ところが、古典の教科書に載っていたこの短い文章を読んで、なんてかっこいいんだろうと、思ったのです。こんなに簡単なことばなのに、スーッと情景が思い浮かぶ。 『枕草子』の書き方を変えてみると… 最初の一文は「春はあけぼの、いとをかし」と続くところかもしれません。しかし、そこを「春はあけぼの」だけで止める。次に夜明けの様子をたたみかけていきます。次第にあたりが白くなって、山と空の境が少し明るくなる、紫がかった雲が細くたなびいている、と。 修飾を極力減らして、言い切る。そんな書き方ができるんだ、と僕は思ったのです。古語辞典を引き引き読んでいた古典が、非常に身近に感じたのです。しかも、ここに書かれた一連の主題ををポンと最初に置いたところが、潔いと感じたのです。 たとえば、これが
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  • 前田安正の「マジ文アカデミー」
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