[高野孟のTHE JOURNAL:Vol.498]米軍がアフガンから撤退しても戦争は終わらない?

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 高野孟のTHE JOURNAL Vol.498 2021.5.17                  ※毎週月曜日発行 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 《目次》 【1】《INSIDER No.1099》    米軍がアフガンから撤退しても戦争は終わらな    い?ーー池上彰を含め日本のマスコミのあまりに    甘い観点     【2】《CONFAB No.498》閑中忙話(5月9日~15日) 【3】《FLASH No.410》    人口当たりの死者数を見れば五輪開催は不可能で    はないかーー日刊ゲンダイ5月13日付「永田町の    裏を読む」から転載 ■■ INSIDER No.1099 2021/05/17 ■■■■■■■■■ 米軍がアフガンから撤退しても戦争は終わらない? ーーー池上彰を含め日本のマスコミのあまりに甘い観点 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■  バイデン米大統領が今年9月11日の米同時多発テロ20 周年までにアフガニスタンに駐留する陸上部隊を全て撤 退させることを決めたのは、まことに歓迎すべきことで ある。  しかし、そこで米国の戦争政策をめぐる3つの問題が 浮上する。  第1は、そもそもこの戦争がブッシュ・ジュニアの誤 った判断で始められて今日まで20年も続けられ、ろくな 成果も挙げずにきたことを思えば、さっさと撤退して何 もかもなかったことにするという訳にはいかない。この 戦争は一体何であったのかを米国は世界に向かってきち んと語る義務がある。  第2に、バイデンが撤退させると決めたのは正規の陸 軍部隊の残余2500人だけであり、それ以外にアフガニス タンには、秘密作戦を行う特殊部隊、CIAの陰謀的な作 戦を担う準軍事部門の要員、現地の治安部員を訓練する 教官、米国が供与した最新兵器の使用法を教える技術者、 現地政府の腐敗を監視・捜査するFBIや国務省のスタッフ、 そして何よりも米政府がアウトソーシングしている民間 軍事サービス会社のスタッフが正規兵を遥かに上回る規 模で駐在している。  第3に、アフガンやイラクでの戦争を通じて米国はま すます無人機による空爆に頼るようになり、そうなると ワシントンのCIA本部のコンピューターを通じる遠隔操 作で気に入らない人物を爆殺することがいとも簡単にで きるようになった。  つまり、米国は陸軍の地上兵力を犠牲覚悟で現地に派 遣しなくても、それを代替する民間の戦争ビジネス・ス タッフを高額で雇うことが出来るし、さらに軍にせよ民 にせよ米国人側の命を危険に晒したくなければ遠隔操作 のドローン兵器に頼って戦争し続けることも出来る。バ イデンのアフガン撤退策は、そのような戦争そのものの 抽象化(?)の上に成り立っている「見せかけの平和」 演出なのではないだろうか。 ●池上彰の粗雑な論調
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