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週刊 Life is Beautiful 2021年5月18日号

週刊 Life is beautiful
今週のざっくばらん SNLに出演したElon Musk 先週は、Elon Musk が Saturday Night Live (SNL) に出演したことが大きな話題になりました。SNL は1970年代から毎週土曜日の夜に放送されているNBCの長寿番組で、ホストによるトークショーから始まり、音楽とコントを交えたエンターテイメント番組です。 それだけ長期に渡って続いている上に、Bill Murrayや Eddie Murphy などの数多くのスターを生み出しているため、米国の「看板お笑い番組」と言って良い存在です。 そこに Elon Musk がホストとして招待されることになったので、大騒ぎになったのです。Elon Musk が Twitter で「ネタ」を募集したことも話題になりました。 私も録画しておいたものを(コマーシャルを飛ばすために)15分ほど遅れで見ましたが、期待通りというか、予想をうらぎらない Elon Musk でした。 彼が出演している部分は、既に Youtube で公開されていますが、是非ともみていただきたいのは、最初にホストとして話す部分です。 例によって、言葉はたどたどしいし、妙に落ち着かない感じですが、冒頭に「アスペルガー症候群を持つ人として最初のSNLのホストだ」と宣言したところが、最初のハイライトでした。 彼が自閉症らしきものを抱えていることは、多くの人が既に気がついていたと思いますが、公の場で「アスペルガー症候群」であることを認めたのは初めてだそうです。 アスペルガー症候群は自閉症の一種で、「人と目を合わせることが出来ない」「社交性が欠如している」「話し方が単調」などの欠点がある反面、異常なまでの記憶力と集中力を持つことが知られています。 私の周りでは、(本人は認めていません)Bill Gates が典型的な例ですが、人類の進歩に大いに貢献している Bill Gates と Elon Musk を見ると、これを「障害」として扱って薬などで「治療」することが、必ずしも正しいとは思えなくなります。 5分強の独演の中で、彼はいくつかのジョークを披露していますが、「(アスペルガー症候群を持つ人間だけど)普通の人間のエミュレーションも出来る」とさらりと言ったジョークは私には響きましたが、ジョークとして理解出来なかった人も多かっただろうと思います。 Twitter に関しても、余計な発言をしてSEC(米国証券取引委員会)から$20 million (約20億円)の罰金を食らったことを笑いものにするあたりは、とても楽しめました。 少し「スベった」と感じたのは、とあるpodcastでマリファナを吸うところを一度見せて以来、「Elon Musk はマリファナばかり吸っている」と言われてしまうことを、これって「1度だけ殺人を犯したO.J. Simpson を殺人者扱いするのと同じだ」と発言した部分です。 いかにもSNLのホストが言いそうなジョークですが、普段 Elon Musk が話題にするようなテーマではないので、これは全く面白くありませんでした。 とても良かったのは、母の日の前の日ということもあり舞台に呼んだ、母親の Maye Musk との掛け合いです。彼女は、若い頃からモデルとして働いて来ましたが、高齢者になってから輝きを増して、さらに活躍しているという、とても魅力的な女性です。 Elon Musk は、この冒頭の独演意外にも、複数のコントに出演していますが、「普段見ることが出来ないElon Muskを見ることが出来る」以上の価値はありません。 一つだけ面白かったのは、ニュースキャクター役のコメディアンが、ちょうど太平洋に墜落しようとしている中国のロケットに関して、「Elon Musk は、あの墜落が自分の責任ではないことを証明するためのアリバイ作りとしてSNLに生出演している」と言った部分ぐらいでしょうか。 Elon Musk が登場するシーンは、「Elon Musk Reveals Asperger's Diagnosis as ‘SNL' Celebrates Mother's Day」というNBCニューヨークの記事から参照可能なので、興味のある方はどうぞ。 米国のコロナ事情 日本でもようやくワクチン接種が始まりましたが、「ワクチン接種完了、日本到着分の15%止まり」などの報道もあり、なかなか思うように進んでいないようです。 そこで、順調にワクチン接種が進んでいる米国の事情を時系列で書いてみます。米国が、今の状況に繋がる「何をしたのか」を理解することは、日本政府が「何をしなかったのか」、そして「これから何をすべきなのか」を知る上で役に立つと思います。 米国で最初に接種が始まった Pfizer-BioNTech (米国、ドイツ)と Maderna (米国)、及び英国で接種が始まった Oxford-AstraZzeneca (英国)のワクチンに関連する、2020年の主なイベントを列挙すると、1月 中国の研究者がワクチンの塩基列を公開。Moderna の研究者はわずか2週間でワクチンを開発。2月 Oxford の研究者がワクチンを開発。最初は米国の製薬会社 Merck との提携の話が進んでいたが、英国政府の介入により(英国の製薬会社である) AstraZeneca へのライセンス契約が決まる(5月)3月 BioNTech が中国の製薬会社 Fosun から $135 million を調達。Fosumは中国での販売権を取得4月 Moderna が米国政府から $955 million を調達4月 BioNTech が Pfizer から $185 million を調達4月 それぞれのワクチンの治験がスタート(Phase IとII)5月 Oxford-Astrazeneca のワクチンを英国政府は1億回分、米国政府は3億回分確保。同時に、英国政府から $80 million、米国製府から $1.2 billion の開発費が提供される。6月 BionTech が EU から $129 million を調達8月 米国製府が Moderna のワクチン1億回分の購入を契約、EUは1億6千回分の購入を契約。9月 BioNTech がドイツ政府から $445 million を調達11月 BioNTech ワクチンの治験が Phase III に入り、4万人に投与。91.3% の有効性を持つという結果に。12月〜1月 それぞれのワクチンが米国、英国、ヨーロッパでスピード認可 となります。 COVID-19 の大流行で医療危機に見舞われた米国とヨーロッパが、莫大な資金を提供してワクチンの開発を加速しただけでなく、まだ Phase III の治験に入る以前のワクチンの購入計画をしています。 特に米国政府は、各研究機関に大規模な研究開発費を渡すと同時に、「1億回分」などの規模でのワクチンの確保に去年の5月ぐらいから動いているのです。今年になって米国では大規模なワクチン接種が始まり、今では有り余っている状況ですが、それは、この時期の先行投資の結果なのです。

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