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高野孟のTHE JOURNAL Vol.494 2021.4.19
※毎週月曜日発行
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《目次》
【1】《INSIDER No.1095》
不要不急の外遊なんかしている場合じゃないでし
ょう、菅さん!ーー『NYタイムズ』も言い出した
東京五輪延期・中止論
【2】《CONFAB No.494》閑中忙話(4月11日~17日)
【3】《FLASH No.407》
辻褄あわせ 高齢者接種も“やってるフリ”のワ
クチン後進国ーー日刊ゲンダイ4月15日付「永田
町の裏を読む」から転載
【4】《SHASINNo.433》付属写真館
■■ INSIDER No.1095 2021/04/19 ■■■■■■■■■
不要不急の外遊なんかしている場合じゃないでしょう、
菅さん!ーー『NYタイムズ』も言い出した東京五輪延
期・中止論
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国民に対して「不要不急の外出」の自粛を要求してい
る最中に、その国内の深刻化するコロナ禍を後に自分が
「不要不急の外遊」に出かけるというのは、いかにも辻
褄が合わないのではないですか、菅義偉首相。
本誌が前々から指摘してきたように、4月にリバウン
ド、5月から6月に第4波が盛り上がって7月にピーク
か? という多くの信頼すべき専門家の予測はその通り
となり、余り信頼すべきでない専門家である尾身茂=政
府分科会会長でさえも「第4波と言って差し支えない」
と公言している。さらに15日には自民党の二階俊博幹事
長がTV番組の収録で「感染拡大が収まらない場合は中止
も選択肢」と、この人にしては珍しく正しいことを言っ
て波紋を呼んだ。
この瀬戸際の状況では、総理大臣はその最前線に留ま
って指揮をとる姿を国民に晒し、何としても第4波を抑
え込んで五輪を実現するのだという確固たる姿勢を示さ
なければならないはずなのに、そこを外して、訪米で成
果を挙げればコロナ対策での躓きをカバーして支持率を
上げられるかもしれないと思うところに、政局戦術はあ
るが政治戦略は不在の菅の限界が表れている。
●希望的観測だけでは五輪は開催に漕ぎ着けない?
ところが、これも本誌が前々から言うように、菅の政
治判断はいつでも「希望的観測」最優先である。
(1) 五輪までは3度目の「緊急事態宣言」は絶対に出さ
ないようにしたい〔という大前提に立って〕。
(2) とはいえリバウンドがありうるので、その場合は
「まん延防止等重点措置」という、緊急事態宣言よりは
ちょっと緩めなのかという印象を与える言葉の綾だけに
頼って、実質はほとんど同じ「外出自粛と店舗時短」だ
けで何とか乗り越えられないか。
(3) 聖火リレーも、始めてしまえばだんだんお祭り気分
が盛り上がり、聖火リレーが始まっているのに今更五輪
の延期・中止はありえないという国民の意識が高まるだ
ろう。
(4) その辺りでちょっと目先を変えるジャブで、訪米を
セットする。バイデン米大統領と世界で最初に対面した
他国の指導者であり、それほど菅は米国に重視されてい
る大物なのだということを、対内的にアピールしたい。
(5) 以上が全部希望通りに転がれば、東京五輪は実現
し、その“成功”を背景に9月解散・10月総選挙、そこ
そこの勝利で菅政権は継続……。
という、すべてが最も楽観的な方に針が振れた場合の
見通しに基づいて、シナリオが組み立てられている。
●早くも足元から崩れ始める超楽観シナリオ
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