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週刊 Life is Beautiful 2021年4月13日号

週刊 Life is beautiful
今週のざっくばらん ARのキラーアプリ 「キラーアプリ(Killer Application)」とは、それだけでは役に立たない技術やプラットフォームを、それだけで価値のあるものに変えてしまうほど、世の中にとって役に立つアプリケーションのことです。 Microsoft の Windows にとっては、Microsoft 自身が出した Office がキラーアプリだったことは良く知られていますが、もっと大極的に見れば、パソコンにとってのキラーアプリが Windows + Office だったとも言えるのです。 どんな技術でも、それだけでは役に立たず、なんらかのアプリケーションが必要なため、新しい技術が作られると、業界全体で「キラーアプリ探し」が行われるようになります。 AR(Augmented Reality = 拡張現実)も、そんな「キラーアプリ探し」が長年行われていた技術です。2013年に一般消費者向けに発売されたGoogle Glassは完全に失敗に終わったし、Apple の(iPhone/iPad 向けの) ARKit も、まだまだ「面白い技術」レベルにとどまっています。 そんな中で、健闘しているのが Microsoft です。一般消費者市場ではなく、エンタープライズ市場にフォーカスしたアプローチで、一歩づつ、着実にコマを進めているのです。 そんな中で、まさにARの「キラーアプリ」と呼ぶべきアプリケーションの発表がありました。軍事利用です(Army moves Microsoft HoloLens-based headset from prototyping to production phase)。 Microsoft は2018年から、米軍向けにプロトタイプの作成をしていましたが(Microsoft secures $480 million HoloLens contract from US Army)、今回、それが実用化のフェーズに移ることが決まったのです。 Microsoft の発表によると、兵士向けの特注 AR ゴーグルを12万セット、10年間に渡って、$21.88 billion という巨額の契約になるそうです(AR と VR の両方を合わせた市場規模は、IDCのレポートによると2020年で $12 billion)。 詳しい仕様などは公開されていませんが、軍事利用であることを考えれば、メッセージ方位・位置情報バーチャル・マップナイトビジョン敵・味方の識別環境・健康センサーデータ などの表示に使われるだろうことは明らかです。 技術としてこなれたものになるまでには、数年はかかると思いますが、ひとたびそうなれば、兵士たちにとって「なくてはならないデバイス」になることは確実で、まさに名実ともに「キラーアプリ」と呼べる存在です。 それにしても、Microsoftは本当に素晴らしい会社に生まれ変わったと思います。このような先進的な技術は、小回りの効くベンチャー企業の方が一般的に有利ですが、そのハンデを乗り越え、的確な研究開発投資で、この契約を勝ち取った点は高く評価出来ます。 先週も書きましたが、私は Apple の AR グラスに大きな期待を寄せています。Apple がどの市場を攻めて来るかはまだ不明ですが、私が Tim Cook であれば、Microsoft と同じくエンタープライズ市場を攻めます。 まずは開発者の間に普及させるために、バーチャルモニターからスタートするのが良いと考えています。MacBook に繋いで、任意の場所に大きなバーチャルモニターを表示することが出来、軽くて長時間かけても疲れないのであれば、開発者にとって必須のアイテムになります。 そうやって開発者の間に普及させることができれば、彼ら(というか、私たちは)は必ず、さまざまなアプリケーションを作り始めるので、そこに大きなエコシステムが生まれるだろうと思います。 私は、「いまさら Windows 上でプログラミングはしたくない」というだけの理由で、Hololens に手を出していませんが、それがいつまでも続く保証はありません。Apple がいつまでも AR グラスを発表しないと、Microsoft の Hololens がエンタープライズ市場で AR のデファクトスタンダードになってしまいます。出来れば今年のWWDCで、どんなに遅くとも来年のWWDCで、発表する必要があると私は思います。 ロングセラー 最近、Twitter に私が 2016年に出版した「あなたの仕事はなぜおわらないのか」の書評を見ることが増えたので、調べてみると、とても興味深いことが分かりました。Amazon の総合ランキングで100位以内に入り続けているのです。 毎年、何千冊もの書籍が出版される中で、5年前に出版された書籍が100位以内に入り続けるというのは、通常、考えられないことです。2020年の6月には1位に返り咲いているし、最近も30位前後で健闘してます。
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