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週刊 Life is Beautiful 2021年2月23日号

週刊 Life is beautiful
今週のざっくばらん 自動運転の近未来 これまで自動運転に関しては、Tesla を中心に色々と書いて来ましたが、一度頭の中を整理する意味でも、これから業界全体に起こるだろうことを私なりにまとめてみようと思います。 まず確実に起こるのは、各社により「世界初の自動運転車」が次々に発表されることです。 レベル4は「特定の条件で、人間の関与なく、安全に自動運転出来ること」で、レベル5は「運転席すらなく、あらゆる環境で、目的地まで自動運転出来ること」です。特にレベル4は「特定の条件で」という条件付きなため、曖昧さがあり、それゆえに「我が社の自動運転こそ本当のレベル4」という宣言が続くのです。 Tesla のオートパイロットは、レベル3(高度な運転補助)で、自動運転にまかせてスマホを操作するなどはまだまだ危険です。高速道路のような車線のはっきりした場所では、かなり安定していますが、一般道ではまだまだです。カーナビで指定した目的地まで、自動的に運転してくれることもありません。 オートパイロットは、あくまで「運転補助」なので、運転手がハンドルを握っていて、いざという時には手動運転に切り替て事故を回避する必要があり、そのために、ハンドルにかかる力を常時監視し、それがなくなると警告が出る仕組みになっています。 現在ベータ版として一部のユーザーに Teska が提供しているFSD(Full Self Driving、完全自動運転)はレベル4を目指したもので、公開されたビデオを見る限り、一般道も含めて、カーナビで指定した目的地まで運転手の関与なしに自動運転出来るようです。このモードになった時にも、運転手がハンドルを握り続ける必要があるかどうかは、明確ではありませんが、事故を起こした場合の責任が誰になるかを決める重要な話なので、慎重な行動に出ると予想出来ます。 Tesla は十分な安全性が確認出来たところで、今年中に一般ユーザーに対しても FSD を提供すると宣言していますが、実際に「ベータ」の文字を外せるほど安全性が確保出来るとは私には思えません。私の Model X で使えるようになったとしても、一般道での「ながら運転」はしないと思います。 とはいえ、その段階で Tesla は「(商用車として)世界初のレベル4の自動運転」を宣言するでしょうが、それに異論を唱える人もたくさんいるだろうと思えます。「レベル 3.5 に過ぎない」と言う言葉も聞かれると思います。 それに続いて、GMや中国のメーカーもFSDをリリースし、「Tesla の自動運転は、レベル4ではない。我が社のFSDこそ、本当のレベル4だ」と主張しながら「世界初のレベル4の自動運転」を宣言することになると思います。 レベル3である「プロパイロット」や「アイサイト」を持つ日産とスバルも、自動運転機能を改良して、Tesla と同等のレベルにまで自動運転機能を上げてくるでしょうが、日本の厳しい法規定と保守的な企業文化を反映して、簡単にはレベル4を謳っては来ないと思います。 そんな混沌とした時代がここから3年ほど続くと思います。 それと平行して、運転席すら持たないレベル5の自動運転車がタクシーおよび配送業務向けに開発され、限定した地域での運営が始まります。これに関しては、共産党がなんでも決めることが出来る中国が圧倒的に有利ですが、地方自治体の力が強い米国や、比較的小さなヨーロッパの国でもそれなりの動きがあると予想出来ます。 日本は、地方で高齢者の足が奪われつつある現状を考えれば、高齢者向けの自動運転バスの需要は明らかにあり、このニーズを上手に活用すれば、「ロボットバス」先進国になるチャンスは十分にあると思います。私が地方自治体の長であれば、あらかじめ定まった道路だけを低速(時速40キロ以下)でオンデマンドで走る自動運転バス(7〜8人乗り)を導入し、それで、路線バスや(旅館、ゴルフ場、老人ホームの)送迎バスを置き換えることに思いっきり力を入れるだろうと思います。 トヨタ自動車が本気で e-palette で勝負したいのであれば、これ(日本の地方の高齢者の足)こそが、最初の一歩(Business Entry Strategy)として最適であり、長期ビジョンのスマートシティとも親和性が良いと思います。 オンデマンドの配車問題は、最適解を求めることは「巡回セールスマン問題」と同じく困難ですが、「十分に実用的な答え」を見つけることはそれほど難しくもなく、私も bus2.0 というプロトタイプを1年ほど前に作りました。オープンソース化してあるので(https://github.com/snakajima/bus20)、興味のある方は是非ともご覧ください。マルチコアをどう活用するかなどの観点からも、ソースコードを読むだけで良い勉強になると思います。
これはバックナンバーです
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