「変異種と奇行種」
おめでたい「第100号」、今年最後の通常版なので、できれば楽しい話題を取り上げたかったのですが、ワクチン接種を始めたばかりのイギリスで新型コロナウイルスの変異種が検出され、EUに広まり始めてしまいました。しばらく前に、デンマークで毛皮用に飼育されていたミンクに新型コロナが広まり、1700万匹が殺処分になったというニュースを取り上げた時、ミンクの中には変異種に感染した固体もいて、それが人間にも感染したということも紹介しました。
この変異種というのは「突然変異種」のことで、ウイルスが増殖する時には、そのウイルスの設計図であるDNAをそっくりコピーして増えて行くのですが、中にはDNAの一部が正しくコピーされず、部分的に別の特性を持った個体が生まれてしまう、というものです。動物や植物でも突然変異は起こりますが、ウイルスの場合は突然変異が頻繁に起こるため、もの凄い種類の変異種が発生します。
今回の新型コロナウイルスの場合は、これまでの約1年間で、確認されただけでも1万2000種を超える変異種が見つかっています。しかし、その大半は、元のウイルスより感染力が低かったり毒性が低かったりする「劣化バージョン」なので、必要以上に恐がらなくても良いものでした。でも、今回イギリスで検出されされた「B.1.1.7」という変異種は、それまでのものより感染力が1.7倍も高いと報告されています。
現時点では、感染力が高くなったこと以外の変化は報告されていませんが、イギリスのゲノム研究センター「ウェルカム・トラスト・サンガー研究所」のジェフリー・バレット博士によると「B.1.1.7」には23の変異が確認されており、このうち17はウイルスの特性に変化を与える可能性があるそうです。もしかすると今後、感染力の他にも人間にとって厄介な変化が見つかるかもしれません。バレット博士も「ウイルスの変異が人間の細胞内の浸透力を強くさせる可能性がある」と述べています。
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)