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週刊 Life is Beautiful 2020年12月15日号

週刊 Life is beautiful
今週のざっくばらん Algorithmic Rent 「Web 2.0」などの言葉を作り出した(というか、考え方を提唱した) Tim O'Reilly (O'Reilly 出版の創業者)が最近使い始めた言葉が「Algorithmic Rent」という言葉です。 GAFAに代表される企業が大きな影響力を持つインターネットの世界では、Google 検索や Amazon サービスを使う私たちが「店子」で、Google や Amazon が「大家」で、大家が利益を最大化するために作ったアルゴリズムの結果、私たちの行動や考え方そのものがコントロールされている、という考え方です。 これまであまり意識されることはありませんでしたが、私たちの何かを調べようとGoogleで検索し、結果として提示されたサイトを開く何かを買おうとAmazonで検索し、買い物する最新の情報を得るために Facebook や Twitter を開き、提示された情報を読む などの何気ない行動が、彼らの「収入を最大化するためのアルゴリズム」によって大きな影響を受けているという指摘です。 Googleは、「良い検索結果を返す」ことで検索のデファクト・スタンダードの地位を築きました。しかし、今やその地位を利用して、検索結果のページで利益を最大化するためのさまざまな工夫をしています。 もっとも悪質なのは、会社名を検索した時にライバルの広告をトップに持ってくることで、それを防止するために、多くの会社が自分の会社名に対して広告を打つことを強いられています。自社のウェブサイトに来る意思を持って、会社名を入力した人を自社サイトに誘導するために Google にお金を払わざるをえないという、とても不合理なことが起こっているのです。 試しに、Nike、Alaska Airline、Uniqlo、American Express などを Google で検索してみましたが、いずれも自社サイトへの広告がトップに来ています。しかも、これは Google 検索に限った話ではなく、Microsoft の Bing も同じです。検索サイトはインターネットへの入り口でもあるため、どの企業も広告料を支払って自社サイトに誘導しなければならないようになってしまったのです。 SPAC 最近、SPACを活用した上場が増えているので、簡単に解説します。SPACは "Special Purpose Acquisition Company" の略で、文字通り、企業買収を目的とした会社です。 通常、市場で見られる企業買収は、Microsoft による LinkedIn の買収のように、事業会社がその事業を拡大するために別の事業会社を買収するものですが、SPAC による買収は、未上場の企業(事業会社)を買収によって上場企業にするためにのみ行われる特殊な買収です。 先週、英国の Arrival という電気自動車の会社が、SPAC を活用して上場することを発表したので、それを例にとって説明してみます。 まず最初に、CIIG Merger Corp という会社(CIIC)が1株$10で、約$260millionを集めてSPACとして上場しました(2019年の12月)。「SPACとして上場」するとは、「この会社は事業会社ではなく、成長性のある未上場企業一社と合併することにより、その会社を上場させることだけを目的とするために作られた会社です」と明確に宣言した上で上場することを意味します。 この時点では、どの企業をどんな条件で買収するかも決まっていないため、投資家はSPACの経営陣の過去の実績や評判を見て、「この人たちならば、良い企業を見つけてくれるに違いない」と全面的な信頼のもとに投資する必要があります。それもあって、SPAC のことを "blank check company" と呼ぶ人もいます。自分のお金を、使い道を指定せずに経営陣に渡すことに相当するからです。 通常の企業の上場と比べて、SPAC の上場はとても簡単です。そもそも事業が存在しないので、過去の会計に問題が見つかる可能性はゼロだし、売り上げ予想なども不要なので、SPAC としての条件さえ満たせば上場出来ます。 だからと言って、誰でもSPACを作って上場出来るわけではなりません。上場を成立させるには、上場時に発行する株を買ってくれる投資家を見つける必要があり、過去の実績があり市場から信頼されている人たちだけが出来る芸当です。
これはバックナンバーです
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