密かにドル安策をとり始めたトランプ政権
「強いドルはトランプの成果」
トランプ大統領は大統領就任以来、一貫してドル高を批判し、ドル高をもたらす要因となっているFRBの金融政策を批判してきました。ところが、同じトランプ大統領が今年5月、FOXニュースのインタビューで突然姿勢を転換し、ドル高を支持する発言をしました。
つまり「私たちがドルの強さを維持したから、誰もがドルを持ちたがっている。私がドルの強さを維持した」と述べました。そして「貿易の面でドル高は厳しいが、国や物価の面ではインフレもなく問題はない。現時点で強いドルを持つことは素晴らしいことだ」と述べ、当面は強いドルを支持する姿勢を明示しました。
実際、足元でも主要6通貨に対するドル指数は94台後半を維持し、依然として「強いドル」を維持しています。しかし、このところのドル高は、政策や米国経済の強さの反映というより、内外の不安要因の発生で、リスク回避のドル買い、という面が濃くなっています。
そして表向きの言動とは裏腹に、トランプ陣営はむしろ密かにドル安戦略に出ている節が見られます。財政赤字の急拡大とFRBによる無制限の債券買い入れ、ドルの供給増はドル安をもたらすものです。主要な中央銀行の間にも、トランプ政権の政策によるドル安(他通貨高)を危惧する認識があり、警戒感がうかがえます。
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