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高野孟のTHE JOURNAL Vol.446 2020.5.18 ※毎週月曜日発行
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《目次》
【1】《INSIDER No.1047》
何もかも「中国のせい」にして責任を逃れようとするトランプ
ーーいくらなんでもこれでは米国は滅びてしまう
【2】《CONFAB No.446》
閑中忙話(5月10日~16日)
【3】《FLASH No.353》
アベノマスクも10万円給付も根本は同じ小政治家の戦略不在
ーー日刊ゲンダイ5月14日付「永田町を読む」から転載
【4】《SHASINKAN No.395》付属写真館
■■INSIDER No.1047 2020/05/18 ■■■■■■■■■■■■■■■■
何もかも「中国のせい」にして責任を逃れようとするトランプ
ーーいくらなんでもこれでは米国は滅びてしまう
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トランプ大統領と競い合うかのように、新型コロナウイルスの感染源
が武漢ウイルス研究所であると断定し世界的パンデミックをもたらした
全責任は中国にあるとのキャンペーンを続けてきたポンペオ国務長官
が、5月6日の記者会見で一転して、「そうであるかどうかは確定的で
はない」と弱気発言に転じた。
ほんの3日前、5月3日のABC テレビに対しては、研究所起源説につ
いては「多くの証拠がある」と言い切っていたのだし、トランプもさら
にその3日前の4月30日にはその説を裏付ける「信頼度の高い情報を見
た」として、それに対して対中制裁関税を発動するつもりであることを
明らかにしていた。もちろん彼らも慎重さは残していて、3日のポンペ
オは「結論づけるために情報機関が検討を続けている」と付け加え、30
日のトランプも「証拠については言えない。言ってはいけないことにな
っている」などと思わせぶりな逃げを打っている。
6日になってその思わせぶりを止めたということは、おそらく情報機
関による検証が終わってその説には根拠がないという結論に至ったこと
を反映しているのだろう。
この間、中国政府は一貫して「証拠があるなら全世界に公表してもら
いたい」という態度を示していて、3月5日にポンペオが「武漢ウイル
ス」という言い方をし「感染がどこから始まったかについて確信を持っ
ている」と言い始めて以来、約70日間に及ぶこれを巡る米中間の陰険な
情報戦は、ひとまず米国の判定負けに終わったということである。
●トランプの狂乱
この武漢研究所起源説を最初に持ち出したのは、2月22日付の保守系
タブロイド紙「ニューヨーク・ポスト」である。「中国の言うことを信
じるな。コロナウイルスは〔武漢〕研究所から漏れたかもしれない」と
題した記事で、寄稿者はスティーブ・モシャー。この名前に憶えがある
方もあるかもしれないが、「地球温暖化は嘘である」という趣旨の『地
球温暖化スキャンダル』の著者の1人(日本評論社、2010年刊、絶
版)。本来は中国の人口抑制に伴う強制避妊政策を告発する潜入ルポを
書いて有名になった人で、中国政府からは、あることないことを平気で
書き飛ばす危険人物として疎まれている。
★ニューヨーク・ポスト:
https://bit.ly/3dU1INJ
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