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予想通り緊急事態宣言が1か月延期された。 精神科医の立場としては、この1か月が大きいと思っている。 たとえばうつ病の場合、シナプス内のセロトニンの量を薬によって増やしてあげても2週間くらいしないとうつ状態が改善しない。セロトニンが減ることで神経栄養因子が減り、神経が縮んでほかの伝達物質の流れも悪くなりうつ病になるというモデルがある。この場合、セロトニンが減ってからうつ病になるまでに2週間から4週間かかるとされている。そして、薬でセロトニンを正常化させても戻るのに2週間くらいかかるから薬が効くまで2週間かかるのだ。 私はこの仮説はある程度妥当なものだと思っている。セロトニンを戻せばいいというのは単純すぎる。うつ病は代謝疾患とは違うのだ。 だとすれば、部屋に引きこもり、日光に当たらず、あっさりしたものばかりを食べることでセロトニンが減り始めてからうつ病になるまで2週間以上かかるはずだ。 またいろいろとストレスがある場合(たとえば震災などの遭遇)、最初の1か月くらいは気が張っているが、それ以降にうつ病やPTSDのような症状が急に増え始めるとされている。 そういう意味で、今うつにならないでどうにかメンタルを保っている人が、この延長で同じストレスにさらされ、同じようにセロトニンが減った状態が続くことになるので、本当のうつ病になる可能性は精神科医の目から見て小さくない。 アルコール依存症にしても、この1か月にすれば、酒量が増えたレベルで済むのだろうが、さらに1か月となると、酒を飲んでいないとイライラしたり眠れなくなるような形で依存症レベルに突き進んでいく。

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  • 和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」
  • 世の中のいろいろなことにたった一つしかないと考え、それを信じ込むことは、前頭葉の老化を進め、脳に悪い。 また、それが行き詰った時に鬱になるというメンタルヘルスにも問題を生じる。 ところが日本では、テレビでもラジオでも、○○はいい、××は悪いと正解を求め、一方向性のオンパレードである。 そこで、私は、世間の人の言わない、別の考え方を提示して、考えるヒントを少しでも増やし、脳の老化予防、メンタルヘルス、頭の柔軟性を少しでもましになるように、テレビやラジオで言えない暴論も含めて、私の考える正解、私の本音を提供し続けていきたいと思う。 質問、相談、書いてほしいテーマ等、随時受付。
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