今週、高齢者相手の自費診療の特別外来をやっていると、いろいろとためになることを教えてくれる80代半ばの東大卒の弁護士の患者さんがいる。
「いやー、こんなにどこの店も開いていないと、何も楽しいことがありませんね。残りの人生が短いことを考えると、食べることや外に出かけることをがまんするのは、けっこうつらいものです」
それはそうだろう。
若い人にとっての一か月の自粛は、つらいことではあるが、終わってみたら、「あのころは嫌だったね」で済むかもしれない。
しかし、80代も半ばを迎えたお年寄りにとって、いつまでおいしいものが食べられるかわからない、いつまで旅行に行けるかわからないのだから、こちらが想像する以上につらいことなのかもしれない。
精神科医や心理学者が入っていない専門バカ会議の人にとっては、感染を抑えることが何よりも優先されるので、人間としての喜びの喪失や、不快感、抑うつ気分、不眠など、それによって副次的に失われるものなど、一切想定されない。
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