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知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
vol. 014
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みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。
今回は、「独身の日セール」についてご紹介します。
独身の日セールは、アリババのEC「淘宝」が始めた年に一度のセールで、毎年11月11日に開催されます。この日は、中国人の誰もがスマートフォンに張り付いて、夜遅くまで買い物を楽しみます。日本でも、中国人が主体となって経営する中華料理店、語学スクール、企業などが増えてきましたが、その多くが11月11日は臨時休業するほどです。
アリババだけで、1日の流通総額は2694億元(約4.1兆円)。日本のアマゾンの2.5年分です。これをたった1日で売り上げてしまうのです。また、独身の日セールはアリババが始めたものですが、他のECも今では便乗をしてセールを行います。2019年は、勢いのあるソーシャルEC「ピンドードー」が、最新のiPhone 11を40万台売って話題になりました。全体ではこの日1日で、6兆円以上の売上があったと推計されています。
もちろん、こんなに熱狂的に買い物がされる理由は、事前にさまざまなクーポンが配布され、他の日に買うよりもお買い得だからです。中には、欲しいものは1年間我慢をして、11月11日にまとめて買うという人も少なくありません。
売上は桁外れですが、では利益の面ではどうなのか。ジャック・マーは「独身の日セールで、アリババは少しも儲けていません」と語っています。しかし、このセールを支えるために、技術力は必然的にあがり、アリババは、アリクラウド、アリペイ、フーマフレッシュなど、クラウド技術、セキュリティ技術、物流技術などが世界でもトップクラスの水準になってきています。
この日、1日で、購入は28億件になるといいます。これを支えるインフラ、決済システム、そして配送する物流システムは、そうとうに鍛え上げられていることは間違いありません。
つまり、独身の日セールは、売上や利益ではなく、テクノロジー面での成長の源泉となっているのです。
アリババは、なぜ独身の日セールを始め、どのように育ててきたのでしょうか。独身の日セールの歴史を振り返ってみます。
知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 014
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▼目次▼
1. 1日で4.1兆円売り上げる「独身の日」は、どのように生まれたのか?
2. アリババ物語その11
3. 今週の「中華IT最新事情」
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