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第103回 ICOの現状といまもっとも信頼できるプロジェクト
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▼今回の記事
今回から「STO」ではなく、「ICO」の紹介に戻ることにする。そのなかでも比較的に厳しい審査を通過した信頼性の高い「ICO」で、いまトークンセールを実施しているものを重点的に紹介する。
▼ICOの現状
いま新型コロナウイルスの影響で、金融危機が目前に迫っている状況にあるとも言われている。2008年のリーマンショック時よりも、中央銀行の市場に対する権限とコントロールの機能が強まり、危機は起りにくくなったとはいえ、パニック発生の懸念は大きい。3月13日、米トランプ政権によるヨーロッパからの厳しい入国規制導入を受け、市場は大暴落した。それは、株式のみならず、金や仮想通貨など、これまでは危機のときの逃避先としてみなされてきた案全資産も大きく値を下げた。投資家は手持ちの資産をすべて売り、現金に走るという予想を越えた行動になった。
そのようななか、法的に義務ずけられた審査もなく、誰でも実施できる「ICO」は、信頼性は乏しく、どのプロジェクトのトークンセールもことごとく失敗するのではないかと見られていた。むしろ、現物資産の前提があり、金融当局の厳しい審査がある「STO」の方に投資は流れるものと思われていた。
たしかに、この市場変動の余波を受けて、「ICO」はかつてないほど低迷している。「STO」に資金が逃げたとはいえないが、「ICO」には資金は集まらなくなっている。「ICO」の評価と実施を行う会社としては最大規模の「ICObench」を見ると、新型コロナウイルスの蔓延が騒動になった1月から、資金集めに成功して立ち上がったプロジェクトの数は顕著に減少しているのが分かる。1月は49プロジェクトだったが、2月には36プロジェクトに減少し、3月は現時点で9プロジェクトしか「ICO」の目標額を達成できていない。
●生き残っているプロジェクトと「KYC」
しかし、そうした状況でも高い評価えを得てしっかりと生き残っているプロジェクトもある。そうしたプロジェクトに共通するのは、「ICObench」のような評価会社による厳しい「KYC」の審査を通ったものがほとんどだ。
ちなみに「KYC」とは「Know Your Customer(顧客確認)」の略だ。それは顧客が金融機関で口座を開設するとき、金融規制当局の定めた方針と手続きに沿って顧客がどんな人物なのか十分な身元確認を行うことである。
具体的なプロセスとしては、銀行で口座開設をする際の本人確認手続きのことだ。「KYC」の目的は架空の人物や法人が口座開設し、マネーロンダリングなどの不正利用を防ぐことにある。
1974年にG10諸国の中央銀行総裁によって金融機関の監督における国際協力の推進を目的としてスイスのバーゼルに設置されたバーゼル銀行監督委員会は、2001年に銀行の顧客確認の手続きに関するガイダンス、「Customer due diligence for banks」を公表し、銀行の顧客確認手続きにおける最低限の基準を定めた。
仮想通貨の場合、仮想通貨取引所で口座開設をする際にはパスポートや免許証などの証明写真、顔写真、両者が同時に写る写真、住所確認のためのハガキ受け取りなどのプロセスが設けられていることが多い。
最近ではこの「KYC」を、「ICO」に適用するケースも多くなっている。「ICO」における「KYC」とは、トークンセールを実施するプロジェクトの立ち上げにかかわっているチームの身元確認のことである。もともと「ICO」には、金融当局の規制がほとんどなかったため、金融機関では義務化されている「KYC」を適用するところは少なかった。そのため、資金集めだけを目的にしたプロジェクトも多く、「ICO」を実施しているもののうち、46%程度はそのようなものではないのかと言われていた時期もある。
いまでも評価会社の厳しい「KYC」の審査を通過したプロジェクトと、そうではないものが混在してトークンセールを行っているのが、「ICO」の現状だ。しかし、新型コロナウイルスの蔓延で市場が大きく変動しているいま、「ICO」でそれなりに成功しているプロジェクトは、やはり「KYC」の審査を通過したものが多い。いわばこうしたプロジェクトは、「ICObench」のような著名な評価会社のお墨付きが与えられたようなものだ。
▼もっとも信頼できる「ICO」
そこで今回は、「ICObench」などの評価会社が実施している「KYC」の審査を通過し、なおかつ現在でも「ICO」の期間中にあるもので、さらに評価が5ポイント中4ポイント以上という、もっとも信頼できるプロジェクトを重点的に選んで紹介する。
これらのものには、以前の記事で紹介したことのあるプロジェクトが多い。やはりどの産業分野でもそうだが、過去に高い評価を得た会社やブランド、またプロジェクトが継続して高い人気を獲得する傾向にある。どうも「ICO」の分野でも同じことが起こっているようだ。以前の記事で紹介した人気プロジェクトが、あいかわらず高い評価を獲得している。これらは、投資をしても比較的に安全なプロジェクトだと考えてよいだろう。以下である。
●マインドシンク(Mindsync)
専門家のコミュニティーをベースにしたAIのプラットフォーム。
評価:4.7
いまどの分野でもAIの広範な導入が始まっている。これからはAIの導入をしない産業分野など存在しなくなるだろう。このような状況のため、AI関連の専門家のニーズは極めて高い。また、自分の産業分野のニーズに合った専門家を探すのが大変だ。大企業でもない限り、AIの導入を図る上では大きな問題となっている。
こうした問題のソリューションを提供するのが、「マインドシンク」だ。これは、AIに関連したあらゆるタイプの専門家のコミュニティーだ。AIを必要とするクライアントが「マインドシンク」にリクエストすると、必要なプロジェクト単位でAIの専門家のチームに仕事を委託することができる。いわばAIのアウトソーシングを行うプラットフォームだ。こうしたやり方でAIの開発と導入ができれば、AIは一層拡大するに違いない。
公式サイト:
https://mindsync.ai/?utm_source=icobench
紹介ビデオ:
https://www.youtube.com/watch?v=JhhxTa9efH8
ICO:トークンは「MAI」
2019年3月1日から2020年5月1日まで。
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