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『 炭素貯金(下) 』 植林や森の育林を例にして「炭素貯金」の話をしたが、実際の木々の成長は一直線ではない。(図1)にあるように、 炭素の吸収は成長の時期によって異なる のだ。 一番炭素を吸収して育つのは 植えてから20年ほどたった頃 で、その後40年生になるころまで成長が続く。その後は成長しなくなり、80年生を超えるとほとんど炭素を吸収しなくなっていく。だから温暖化防止だけ考えれば古い木には意味が少ないのだが、木の性質は年月とともに変わっていく。 たとえば秋田県の「わっばめし」で有名な「秋田スギ」で作る輪っぱ(わっば)は、通常200年ほど経ったスギで作る。 そうでないと粘って輪に曲げられる板になららないこと、そして抗菌性の高いスギにならないためだった。地域の伝統工芸品「大館曲げわっぱ」の材料となる天然秋田杉に替わる木材資源を育成するために、大館市では「大館曲げわっぱ150年の森育成事業」という事業を開始している。 また、 more trees (モアトゥリーズ、代表は坂本龍一氏)の紹介する鳥取県の 智頭町 の「100年スギ」は強く粘りがあり、耐久性に優れると言われている。実際狂いが少なくなり、使いやすい木材となる。その用途によって性質が異なるのだ。早く育てるだけが良いわけではない。 スギの成長の炭素吸収量を曲線で表すと、(図2)のようになる。 各年毎の吸収量では20年を超えたところにピークがあるが、未だ使える木材にはなっていない。成長が鈍くなった40年から60年の間が通常の伐採期になる。 二酸化炭素排出量を考えた建築をする場合、 木造で建てるのが最も二酸化炭素量が少ない (図3)。

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