今週のざっくばらん
料理のレシピを覚えることと、料理を理解することの違い
少し前に、Tesla の AI チップを設計した Jim Keller 氏(その前には、AMD や Apple でチップの設計をしています)のインタビュー(Jim Keller: Moore's Law, Microprocessors, Abstractions, and First Principles | AI Podcast)を観ていたところ、とても良い表現が使われていたので紹介します。
Keller 氏は、エンジニアが何かを作る際には、良く知られているテクニックを組みわせて手早く作ってしまう場合と、そのデザインの本質に踏み込んで新しいものを作り出す場合の二種類があると説明した上で、それを料理に例えているのです。
パンのレシピを「知識」として持っていれば、誰でもパンを焼くことが出来ますが、一歩踏み込んだ料理をするには、イーストの役割とかパンがオーブンの中で膨らむ原理、などを「理解」している必要があるのです。
Keller 氏は、この例えをチップ・デザインに関して使っていますが、これはソフトウェアも同じです。特に最近は、オープンソースのライブラリなどが増えてきたので、その手の物を組み合わせて誰でも簡単にウェブサイトとかアプリを作れるようにはなっています。
しかし、それでは単に「レシピを覚えた」ことにしかならないので、それだけではエンジニアとして半人前で、本当の意味でのイノベーションを起こすことは難しいのです。
しかし、だからと言って、この時代のソフトウェア・エンジニアに、トランジスタが動く仕組みを理解しろとか、アセンブラでのプログラミングまで経験しろとは言う必要がないので、どこまで「深く理解する必要があるのか」を定義するのは簡単ではありません。
ハリウッドの自浄能力
韓国映画「パラサイト」が主要なアカデミー賞を総なめにした件ですが、私はこれがようやくハリウッドの「自浄能力」が機能し始めた良いサインだと感じています。
最近のハリウッド映画は、「アベンジャーズ」、「ミッション・インポッシブル」、「スパイダーマン」、「バットマン」、「オーシャンズ」などのシリーズものに大量の制作費と宣伝費を投じて一気に回収するビジネスモデルにシフトしており、本当の意味での「良い映画」作りをサボって来た面があると思います。
今回、作品賞でライバル視されていたタランティーノ監督の「Once Upon a Time in Hollywood」も、売り上げだけはしっかりと上げていますが、結局は、Brad Pitt と Leonardo DiCaprio の人気と、監督のカリスマ性で誰もがついうっかり「良い映画」に決まっている思い込んでしまう、ある意味「裸の王様」のような駄作だと思います。
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