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高野孟のTHE JOURNAL Vol.426 2019.12.30 ※毎週月曜日発行
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《目次》
【1】《INSIDER No.1027》
「5G本格商用化」元年を主導するのは中国ファーウェイである
――遠藤誉『米中貿易戦争の裏側』を読む
【2】《CONFAB No.426》
閑中忙話(12月22日~28日)
【3】《FLASH No.331》
社会保障の構想ない増税だけ食い逃げの政権に対抗するには
――日刊ゲンダイ12月26日付から転載
【4】《shasin No.379》付属写真館
■■INSIDER No.1027 2019/12/30 ■■■■■■■■■■■■■■■■
「5G本格商用化」元年を主導するのは中国ファーウェイである
――遠藤誉『米中貿易戦争の裏側』を読む
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2020年は、第5世代移動通信システム(5G)の本格的な商用化が始ま
る元年となるが、それを先導するのは中国の巨大民間IT企業「華為(フ
ァーウェイ)」である。それに対して米国は、経済的・技術的な競争を
通じてではなく、政治的・暴力的な制裁手段を用いて打ち勝としてきた
が、その理不尽さと無意味さは20年のいろいろな出来事を通じて浮き彫
りにされていくことになろう。
ガラケーに象徴される3G時代をリードしたのは日本であり、それを追
い越してスマホの4G時代を取り仕切ったのは米国であったが、その4Gの
10~20倍もの容量と速度で多様な情報通信が飛び交うことになる5G時代
の幕開けは、米国をすでに乗り越えつつある中国が制しつつあって、遠
藤誉『米中貿易戦争の裏側』(毎日新聞出版、19年11月刊)によれば、
米国防総省が19年4月に出した「5Gエコシステム:国防総省にとっての
リスクとチャンス」と題した報告書は、「米国が最新技術の開発と5Gの
世界標準の確立で(中国に)後れを取っている」ことを率直に認めてい
る。
なぜそんなことが起きたのか。
●周波数の割り当て
5Gの進展にとっていちばんやっかいな問題は、どの周波数帯域を利用
するかという問題である。主流は、3Gや4Gで使われていた1.8G~2.6GHz
に隣接する2.6G~4.9GHzの低周波数帯域(6GHz以下なのでsub-6 と略称
される)を5Gに割り当てようとするもので、中国や欧州はこれである。
それに対して米国やそれに追随する日本や韓国は、24G~100 GHzのミリ
波の高周波数帯域を主にしようとしている。
sub-6 は、カバーする距離が長く、障害物のある複雑な地形にも対応
しやすいので、基地局の数が少なくて済む上、4G用に建てた基地局をそ
のまま活用して5G用として活用できるので、遙かに安いコストで急速に
5G局を増やすことができる。それに対してミリ波は、速度が速いけれど
もその分だけ直進性が強くて障害物に弱く、しかも到達距離が短いの
で、たくさんの基地局を建てなくてはならないし、今までの蓄積がない
からすべて最初から作らなければならないので、途方もないコストがか
かる。
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