家業継ぐ二男の決意祭笛
 句会の中で私が特選で戴いた句です。

「『祭笛』と言ってるのだからこの家業は明治か或いはその前から続いている老舗。
しかし時代の流れで今はもう儲からなくなっているのだろう。
賢兄愚弟と云う如く、大体において子供の中で一番勉強が出来る長男は、
良い学校を出て、何処かに就職してしまったんだろう。
親は、自分の代でこの家業は終わるのかと半ば諦めていたところへ
突然二男が『俺、この家を継ぐよ』と言い出した。
二男は愛嬌が有って人当たりが良いのが相場だから
頭の良し悪しは別にして家業には向いていそう。
その喜びが『祭笛』という季語で顕わされている」
と私が解説しました。

それに対し先生のコメントは
「確かに『祭笛』という季語はよく効いている。
その町の伝統に即した家業なのだろう。
しかし、『決意』まで言うと説明的。
もっとさらっと言うのが大人の工夫。
二男が継ぐと決まった夏。
笛も二男が吹いているのかも知れない。
これは、でも親の句ではないですね。
親戚か、近所の人か、いずれにせよ他人の感慨でしょう」
とのことでした。

句会を終えた後、名乗った作者に聞いてみたところ
「長男は三流大学を出て、頼りにならないから二男が継いだんだよ。
店は人形屋。俺の取引先だった」
との事でした。

そうか、惣領の甚六だったか。
(注:甚六とは「甚だしいろくでなし」を縮めて人の名のように見せかけたもの)



家業継ぐ二男の決意祭笛


季語は「祭笛」夏です。



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